『コードギアス 奪還のロゼ』が2026年7月10日深夜にTV初放送、新作『星追いのアスパル』も発表
2024年に劇場4部作として公開され、Disney+で独占配信されていたロボットアニメ『コードギアス 奪還のロゼ』が、2026年7月10日(金)深夜1時53分からついに地上波でテレビ初放送される。
同時に、シリーズ完全新作『コードギアス 星追いのアスパル』の制作決定も発表された。
今年は『コードギアス 反逆のルルーシュ』の放送開始から20周年にあたる節目の年であり、今回の発表はその記念プロジェクトの中核を担うものだ。本記事では放送の詳細と、その背景にある20周年施策の全体像を掘り下げる。
前提の共有 ― 『コードギアス 奪還のロゼ』とは何か
『コードギアス』シリーズは、2006年10月6日から2007年3月30日まで放送された『コードギアス 反逆のルルーシュ』を第1作とするSFロボットアニメの系譜だ。
主人公ルルーシュが「ギアス」と呼ばれる絶対遵守の力を武器に巨大帝国ブリタニアへ反旗を翻す物語は、放送終了から20年近く経った今も根強い人気を保っている。
『奪還のロゼ』はそのシリーズの正統な後継作品で、続編『復活のルルーシュ』からさらに5年後、「光和7年」を舞台にする。旧ホッカイドウブロックで「ナナシの傭兵」として生きる兄弟、兄アッシュと弟ロゼが、日本人レジスタンス組織「七煌星団」とともに、皇サクヤの奪還を目指してネオ・ブリタニア帝国と戦う筋書きだ。
キャストにはロゼ役の天﨑滉平、アッシュ役の古川慎、サクヤ役の上田麗奈が名を連ねる。監督は大橋誉志光が務め、主題歌はオープニングにMIYAVI「Running In My Head」、エンディングに満島ひかり「ロゼ」(TeddyLoidプロデュース)が起用された。
深夜1時53分、ついに地上波へ ― 放送局と時間帯を整理する
今回発表されたテレビ初放送は、2026年7月10日(金)深夜1時53分からMBS・TBS・CBCなど「アニメイズム」枠でスタートする。BS-TBSでは30分ほど遅れて深夜2時30分からの放送となる予定だ。全12話が放送されるが、これは劇場公開時に4幕構成でまとめられていた内容を、テレビシリーズの形式に戻したものと考えられる。
深夜1時台という時間帯は、いわゆる「アニメイズム」枠の定位置であり、コードギアスシリーズとも縁が深い。初代『反逆のルルーシュ』も同枠の前身にあたる深夜枠でファンを獲得してきた経緯があり、今回の放送はある意味で「原点回帰」の側面も持つと言えるだろう。
筆者の見立てでは、この放送局の組み合わせはシリーズの制作委員会にとって手堅い選択だ。MBS・TBS系列は過去のコードギアス関連作品を数多く放送してきた実績があり、新規視聴者だけでなく往年のファン層にも確実にリーチできる。深夜という時間帯設定も、動画配信サービスとの棲み分けを意識したものと見て良さそうだ。
劇場4部作という異例の公開形態を振り返る
『奪還のロゼ』はもともとテレビシリーズとして企画・制作されていたが、公開形態としては劇場で4幕に分けて上映するという珍しい手法が取られた。第1幕が2024年5月10日(74分)、第2幕が6月7日(76分)、第3幕が7月5日(76分)、最終幕が8月2日(74分)と、約1か月おきに全国で順次公開されている。
各幕はおよそ60館規模での上映だったとみられ、決して大規模なロードショーではなかったものの、シリーズファンにとっては劇場体験として貴重な機会になった。公開後は2024年6月21日から9月6日にかけて、Disney+の「スター」枠で独占配信され、劇場に足を運べなかった層はそちらで視聴する形となっていた。
つまり『奪還のロゼ』はこれまで「劇場」と「Disney+」という2つの限定的な窓口でしか視聴できず、地上波・BSといった無料放送の枠組みには一度も乗っていなかった。今回のテレビ初放送は、その視聴のハードルを一気に取り払う意味を持つ。
興行成績が物語る「予想より地味だった」現実
劇場公開時の成績を見ると、決して爆発的なヒットとは言い難かった実情が浮かび上がる。第2幕と第3幕はいずれも公開初週末の興行ランキングで7位、最終幕は10位にとどまった。第3幕については、公開初週末3日間の動員数が約12万9900人、興行収入が約2億2200万円という数字も報じられている。
下の表に、4幕それぞれの公開日と上映時間をまとめた。1か月おきの分割公開という形式自体が、話題の持続という点でハードルになった可能性は否めない。
| 幕 | 公開日 | 上映時間 | 初週末ランキング |
| 第1幕 | 2024年5月10日 | 74分 | 非公表 |
| 第2幕 | 2024年6月7日 | 76分 | 7位 |
| 第3幕 | 2024年7月5日 | 76分 | 7位 |
| 最終幕 | 2024年8月2日 | 74分 | 10位 |
個人的な見解になるが、この成績の背景には「Disney+独占配信」という条件も影響していたのではないか。劇場公開と同時期に配信の情報が広まっていたことで、映画館に急いで足を運ぶ動機がやや弱まった観客もいたと考えられる。今回の地上波放送は、そうした「見逃した層」を取り込む再チャレンジの意味合いが強いはずだ。
なお本作は、シリーズを長年支えてきたキャラクターデザインの木村貴宏氏が2023年に逝去し、事実上の遺作となった作品でもある。興行成績の数字だけでは測れない制作背景があったことも、記事として触れておきたい事実だ。
なぜ今、地上波なのか ― 20周年施策の全体像から読む狙い
今回の発表は、単独のテレビ放送告知ではなく、「コードギアス20周年」を掲げた大型プロジェクトの一環として公開された。発表元によれば、2025年12月7日に開催されたイベントで一連の施策がまとめて明かされたという。
具体的には、以下のような企画が並行して進行している。
- 劇場作品の復刻上映会:2026年1月6日から6月まで、全13作品を全国114館で隔週公開
- 20周年記念展覧会:2026年9月に東京、11月に大阪で開催
- YouTube公式チャンネルでの無料配信:『反逆のルルーシュ』全50話を2025年12月28日から2026年6月30日まで配信
- ミュージカル:2026年1月に大阪・東京で上演
これだけの規模の施策が同時多発的に走っている点を見ると、単なる懐古企画ではなく新規ファンの獲得と旧作の資産価値の最大化を同時に狙う、かなり計算されたロングランのプロモーションだと感じる。特にYouTubeでの無料配信は、視聴のハードルを極限まで下げる施策であり、20年前にリアルタイムで見ていなかった10代・20代の視聴者を意識した動きだろう。
『奪還のロゼ』の地上波初放送も、この文脈の中に置くと理解しやすい。復刻上映やYouTube配信で旧作に触れた視聴者を、最新作である『奪還のロゼ』へと自然に橋渡しする役割を担っているわけだ。
同時発表された完全新作『星追いのアスパル』の重み
今回の発表でファンの間で最も注目を集めたのは、テレビ放送そのものよりも、完全新作アニメ『コードギアス 星追いのアスパル』の制作決定だったのではないか。監督には『憂国のモリアーティ』を手がけた野村和也氏、シリーズ構成には『HELLO WORLD』の脚本で知られる野﨑まど氏が起用され、キャラクターデザインはろるあ氏、ロボット(アガルマータ)デザインはYoshi.氏が担当する。
『奪還のロゼ』が既存シリーズの正統続編という位置づけだったのに対し、『星追いのアスパル』は現時点で世界観や時系列との関係が明かされていない「完全新作」として発表されている点が大きな違いだ。シリーズ構成に野﨑まど氏という、これまでコードギアスに直接関わってこなかった書き手を起用した点も、新しい方向性を模索する姿勢の表れと見て良いだろう。
20周年という節目に「過去作の再放送・再上映」と「未来に向けた完全新作」を同時に打ち出す構成は、ファンにとって過去を振り返りながら今後の展開にも期待を持てる巧みなバランスだ。テレビ初放送の一報だけを見ると地味な話題に映るかもしれないが、実際には20年分の資産と新規展開を束ねる大きな発表の一部だったことが分かる。
補足情報
「アニメイズム」枠は、MBS・TBS系列で長年続く深夜アニメ枠で、過去にも数多くの人気ロボットアニメ・SFアニメを送り出してきた実績を持つ。コードギアスシリーズとは特に相性の良い放送枠として知られている。
また、劇場4部作という上映形態は近年のアニメ業界で珍しくなく、他シリーズでも話数をいくつかの幕にまとめて劇場公開し、その後配信・放送に展開する手法が増えている。制作側にとっては劇場興収と配信権料の両方を確保できる利点があり、『奪還のロゼ』もそうした業界トレンドの延長線上にある作品と位置づけられる。
まとめ
『コードギアス 奪還のロゼ』は2026年7月10日深夜1時53分、MBS・TBS・CBCの「アニメイズム」枠でついに地上波デビューを果たす。
劇場公開時の興行成績は7位から10位と決して派手ではなかったが、20周年施策全体の中で新たな視聴者層を取り込む重要な役割を担っている。
同時発表された完全新作『星追いのアスパル』の存在も含め、コードギアスというシリーズが次の20年に向けて再始動したことを印象づける発表だったと言えるだろう。