デュア・リパの結婚式ドレスを徹底解説、シャネルの48万粒ビーズとボッテガの羽根スカート
歌手として世界的な人気を誇るデュア・リパ(30)が、俳優カラム・ターナー(36)と結婚した。2026年5月31日、ロンドンの区役所で静かに入籍を済ませたのち、6月にはイタリア・シチリア島で3日間にわたる盛大な祝宴を開催した。
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7月に入って公開された新たな写真では、シャネルのクリエイティブディレクター、マチュー・ブラジが手がけた特注のクリスタル・フェザー装飾ドレスや、ボッテガ・ヴェネタの特注レザードレスといった豪華な衣装の数々が明らかになった。海外のファッション誌が競うように報じる一方、日本の一般メディアでの扱いはまだ薄い。この記事では日程・衣装・出席者の詳細を掘り下げていく。
交際から結婚までの道のり
2人が最初に出会ったのは、ロンドンの人気レストラン「ザ・リバー・カフェ」だったとされる。共同創業者ルース・ロジャースの紹介で顔を合わせたのが最初の接点だが、この時点では特別な進展はなかったという。
その約1年後、今度はロサンゼルスでの食事の場で再会した。ターナーがリパの読んでいた小説(ハーナン・ディアスの『Trust』)について声をかけたことがきっかけで急接近したと伝えられている。
2024年に入ると交際の噂が本格化し、同年のグラストンベリー・フェスティバルで撮影されたツーショット写真をそれぞれが自身のSNSに投稿したことで、交際が事実上公認された。
2025年末、リパは年越しを祝う投稿で大きなダイヤモンドの指輪をさりげなく披露し、婚約が取り沙汰されるようになった。その後、英国版『Vogue』のインタビューで本人が正式に婚約を認めている。
そして2026年5月31日、ロンドンのオールド・マリルボーン・タウンホールにて、家族と親しい友人のみが立ち会う中で民事婚(法律上の婚姻手続きのみを行う挙式形式)を済ませた。これが2人にとって「1着目」のウエディングドレス披露の場となった。
ロンドン挙式で見せた「ビアンカ・ジャガー」へのオマージュ
区役所での挙式でリパが着用したのは、スキャパレリのオートクチュール(高級仕立ての一点物ドレス)によるスカートスーツだった。クリエイティブディレクターのダニエル・ローズベリーがデザインを手がけている。
アイボリーのブレザーには特別な金のジュエリーボタンがあしらわれ、白いレースで縁取られた立体的なビスチェ(胸元を強調する土台部分)とアシンメトリー(左右非対称)のスカートを組み合わせたスタイルだ。腰にはパッドが入れられ、手袋も着用していた。
帽子はスティーブン・ジョーンズ・ミリナリーが担当し、内側に金箔を施したつば広ハットに仕上げている。このルックは、1971年にミック・ジャガーとの結婚式でビアンカ・ジャガーが着たイヴ・サンローランのスカートスーツを想起させるデザインだと各メディアが指摘した。単なる白いドレスではなく、70年代のロックンロール・アイコンへのオマージュを選んだ点に、リパ自身の音楽性との一貫性を感じ取れる。新郎のターナーは、フェラガモのネイビーのダブルスーツで寄り添った。
スキャパレリは、1927年創業のパリの老舗メゾンをダニエル・ローズベリーが2019年から率いており、シュルレアリスム(現実離れした幻想的な表現を追求する芸術思潮)を思わせる大胆なデザインで近年評価を高めてきた。花嫁が”控えめな白いドレス”ではなく強い意匠性を持つスーツを選んだこと自体、既存のブライダル像への一種の挑戦だったとも読める。
シチリア島パレルモでの3日間、豪華な祝宴の全貌
ロンドンでの入籍からおよそ1週間後、舞台はイタリア・シチリア島の州都パレルモへと移った。6月4日から6日にかけての3日間、パレルモ近郊バゲリアにある17世紀建造の邸宅「ヴィラ・ヴァルグアルネーラ」を中心に祝宴が繰り広げられたと報じられている。
邸宅内の「鏡の間」がパーティー会場となり、ゲストはパレルモの5つ星ホテル「ヴィラ・イジェア」に宿泊。ウェルカムパーティーは市内のクローチェ・デイ・ヴェスプリ広場でも開かれた。
食事は地元パレルモの人気オステリア「デイ・ヴェスプリ」やシェフのトニー・ロ・ココが腕を振るい、シチリアの郷土料理でゲストをもてなしたと伝えられている。単なる貸切パーティーではなく、土地の食文化そのものを演出に組み込んだ点も、近年のセレブ婚礼らしい傾向だ。
出席したゲストは合計で約300人にのぼるとみられ、著名な顔ぶれが並んだ。
- エルトン・ジョン(音楽アーティスト)
- マーク・ロンソン(音楽プロデューサー)
- チャーリーXCX(音楽アーティスト)
- ドナテラ・ヴェルサーチェ(ヴェルサーチェ クリエイティブディレクター)
- ジャックムス創業者のシモン・ポルト・ジャックムス
- ジョー・アルウィン、グレイス・ガマーら俳優仲間
さらに会場ではカール・コックス、マーティン・ギャリックス、デヴィッド・ゲッタ、ペギー・グーといった名だたるDJがプレイし、パーティー自体が一つの音楽フェスティバルのような様相を呈したという。地元報道によれば、警察当局は式に合わせて広場周辺を封鎖し、正式発表の代わりに「デモンストレーション公演」という曖昧な告知を出したほか、周辺住民に秘密保持契約への署名を求めたとも伝えられている。祝宴全体の費用は約173万ドル(日本円で約2億7700万円)にのぼると推計されており、その規模の大きさがうかがえる。
主役はマチュー・ブラジ渾身のシャネル特注ドレス
シチリアでの本式で披露されたのが、シャネルのオートクチュールによるウエディングドレスだ。デザインを手がけたのは、2024年にシャネルのクリエイティブディレクターに就任したマチュー・ブラジ。本人にとって、シャネルで初めて手がけるブライダル(花嫁衣装)作品となった。
背中を大きく見せるホルターネック(首の後ろで結ぶ肩ひもデザイン)のシルエットに、クリスタルとジュエルを模した刺繍がまとわれている。パリの刺繍工房モンテックスが施したビーズはおよそ48万粒にのぼり、もう一つの名門刺繍工房レサージュは、宝石を精巧に描き出すトロンプルイユ(だまし絵)刺繍に1100時間以上を費やしたと報じられている。
さらに2メートルにおよぶトレーン(裾を引く長い部分)には、羽根工房ルマリエの手によって2万5000枚ものフェザーが1枚ずつ丁寧に縫い付けられた。ベールにも刺繍が施され、頭飾りにはフェザーがあしらわれている。既製品では到底再現できない、まさにオートクチュールならではの手仕事の結晶と言える一着だ。
ブラジは2024年12月にシャネルのクリエイティブディレクター就任が発表されたばかりで、前任のヴィルジニー・ヴィアールから引き継いで最初の大型プロジェクトの一つがこの一着だったとみられる。著名人の実生活を借りた”お披露目”という点で、ブランドにとっても新体制の実力を世に示す絶好の機会になったといえるだろう。
ウェルカムパーティーを彩ったボッテガ・ヴェネタのレザードレス
祝宴の初日、ウェルカムパーティーでリパが着用したのはボッテガ・ヴェネタの特注ドレスだった。デザインを手がけたのは、同ブランドのクリエイティブディレクタールイーズ・トロッターである。
ボディス(上半身部分)には、ブランドを象徴する編み込みレザー技法「イントレチャート」を採用。背中を大胆に見せるバックレスのホルターネックデザインで、腰から下は真っ白なダチョウの羽根で仕立てたマーメイドスカート(裾に向かって広がる魚の尾ひれのようなシルエット)に切り替わる。
足元には同素材のフェザーをあしらった「アンディアーモ」クラッチバッグを合わせ、ジュエリーにはブルガリのゴールドアクセサリーを選んでいる。硬質なレザーと軽やかな羽根という対照的な素材を組み合わせた点に、トロッターらしい遊び心が表れている。
なぜ2着も? セレブ婚礼ファッションのトレンドとシチリアという選択
近年のセレブリティ婚礼では、1つの式で複数の衣装を披露する「マルチルック・ウエディング」が一種のトレンドになっている。
デュア・リパの場合も、ロンドンでのスキャパレリ、シチリア初日のボッテガ・ヴェネタ、本式のシャネルと、用途ごとに異なるメゾン(高級ブランド)を起用した点が特徴的だ。
それぞれのブランドの創造性を式の各シーンに配置することで、単なる「花嫁の衣装」を超えて、ファッション業界全体を巻き込んだ一大キャンペーンのような広がりを持たせている。
ブランド側にとっても、著名人の実生活に紐づく形でクラフツマンシップ(職人技)を発信できる貴重な機会だと言えるだろう。
興味深いのは、シャネルのマチュー・ブラジとボッテガ・ヴェネタのルイーズ・トロッターの関係性だ。
ブラジは2021年から2024年12月までボッテガ・ヴェネタのクリエイティブディレクターを務めており、トロッターはまさにその後任にあたる。花嫁が身にまとった2着が、同じポストを継いだ前任者と後任者それぞれの代表作だったという偶然は、業界関係者の間でも話題になった。
式の舞台としてシチリア島パレルモが選ばれた背景には、地中海の景観とバロック建築が織りなす独特の情緒があるとみられる。
近年は他の海外セレブリティの間でも南イタリアでの挙式が相次いでおり、古都の重厚な建築と眩しい陽光のコントラストが、ラグジュアリーブランドの衣装をより印象的に見せる舞台装置として機能しているという見方もできる。
下の表は、2人の結婚式で披露された主な衣装を比較したものだ。
| 着用シーン | ブランド | デザイナー | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| ロンドン入籍 | スキャパレリ | ダニエル・ローズベリー | アイボリーのオートクチュールスーツ、金ジュエリーボタン |
| シチリア初日 | ボッテガ・ヴェネタ | ルイーズ・トロッター | イントレチャート編みレザー、ダチョウ羽根のマーメイドスカート |
| シチリア本式 | シャネル | マチュー・ブラジ | ビーズ約48万粒、羽根2万5000枚のオートクチュールドレス |
補足情報
シャネルのオートクチュール刺繍を手がける工房「モンテックス」と「レサージュ」は、いずれもシャネル本体が買収した専門アトリエだ。
両工房は1997年以降、シャネルが立ち上げた「メチエダール(高度な手工芸を継承する専門会社群)」の傘下に入り、ブランド横断で刺繍やアクセサリーを手がけている。
ボッテガ・ヴェネタの「イントレチャート」は、1970年代から続く同ブランドの代名詞的な編み込み技法だ。ロゴを前面に出さない“サイレントラグジュアリー”の象徴として、近年再び注目を集めている。
入籍の舞台となったオールド・マリルボーン・タウンホールは、大々的な演出を避けて内密に民事婚を行いたいカップルに長年好まれてきた会場として知られる。
著名人でも人目を避けたい場合にたびたび選ばれており、リパとターナーもその一例となった。
まとめ
デュア・リパとカラム・ターナーの結婚式は、2026年5月31日のロンドン入籍と6月のシチリア島での3日間の祝宴という2部構成で行われた。スキャパレリ、ボッテガ・ヴェネタ、シャネルという3大メゾンが競演し、それぞれのドレスには数百時間・数十万粒規模の手仕事が込められている。
単なる有名人の慶事にとどまらず、ラグジュアリーブランドの職人技とセレブリティ文化が交差する象徴的な出来事として、今後もファッション業界で語り継がれていきそうだ。