sacai × A.P.C.が3度目のコラボ、モハメド・アリ×ジェシカ・オグデンのキルトで全10型を7月10日発売

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日本発のファッションブランド「sacai(サカイ)」とフランス・パリの「A.P.C.(アーペーセー)」が、2026年7月10日に3度目のコラボレーションコレクションを発売する。

今回の目玉は、ボクシング界のレジェンド、モハメド・アリの象徴的なイメージをプリントしたアイテムに、テキスタイルアーティストジェシカ・オグデンによるキルティング(パッチワーク状に生地を縫い合わせる伝統技法)を組み合わせた全10型。価格帯は5万5000円〜38万5000円と幅広く、ファッション好きの間で早くも話題になっている。本記事では、コラボの背景と過去の実績、価格の詳細までを掘り下げていく。

sacaiとA.P.C.、2つのブランドの関係性

sacaiは、デザイナー阿部千登勢氏が1999年に東京で立ち上げたブランドだ。

コム デ ギャルソンやジュンヤ ワタナベでの経験を経て独立した阿部氏は、異なる素材やシルエットを組み合わせる「ハイブリッド」なデザイン哲学で世界的な評価を確立してきた。

一方のA.P.C.は、1987年にジャン・トゥイトゥ氏がパリで創業したブランドである。ブランド名は「生産と創造の工房(Atelier de Production et de Création)」の略で、装飾を排したミニマルなデザインとデニムを軸にした定番アイテムで支持を集めてきた。

両者の関係は単なるビジネス上のコラボにとどまらない。

トゥイトゥ氏と阿部氏は個人的にも親交が深く、その信頼関係が2021年3月19日発売の初コラボレーション「A.P.C. sacai INTERACTION #9」に結実した。

デニムとナイロンを組み合わせたカプセルコレクションは、発売直後にほぼ完売するほどの人気となり、両ブランドの美学が高い次元で融合したと評された。

今回はそれに続く3度目の合流であり、両社にとって節目のプロジェクトといえる。

今回のコラボ内容:全10型、価格帯5万5000円〜38万5000円

2026年7月10日に発売される新作コレクションは、sacaiの直営店、公式オンラインストア、そして国内外の取扱店舗で同時展開される。ラインナップはブルゾンやパンツ、プルオーバー、ドレス、Tシャツなど全10型で、メンズ・ウィメンズの両方が用意されている。

価格帯は5万5000円〜38万5000円と、Tシャツのようなエントリーアイテムから、ジェシカ・オグデンの手作業によるキルティングを施したハイエンドなアウターまで幅を持たせた構成だ。約7倍という価格の開きは、量産パーツと一点物に近い手仕事パーツが同じコレクション内に共存していることの表れだろう。

初コラボ(2021年)の価格帯は、税抜きで以下のように推移していた。当時と比較すると、今回はキルティングという手工芸的要素が加わった分、上限価格が大きく引き上げられていることが分かる。

コラボ回発売日価格帯(目安)アイテム数
1回目(A.P.C. INTERACTION #9)2021年3月19日2万3000円〜8万円(税抜)デニムジャケット等7種
3回目(モハメド・アリ×ジェシカ・オグデン)2026年7月10日5万5000円〜38万5000円全10型

単純比較はできないものの、上限価格だけを見れば約4.8倍に跳ね上がっている。これは物価上昇だけでなく、キルティングという手仕事の付加価値が価格に色濃く反映されている証拠と見てよいだろう。

なぜモハメド・アリなのか

今回のコラボで目を引くのが、ボクシング伝説モハメド・アリのイメージを大胆にプリントしたアイテムだ。sacaiの2026年秋冬コレクション第2弾は「破壊の先にある美」をテーマに掲げており、リングで戦い続けたアリの生き様が、既存の型を壊して再構築するsacaiのデザイン哲学と重なる象徴として起用されたと考えられる。

モハメド・アリの肖像権・商標は、現在Authentic Brands Group(ABG)という米国の知的財産管理会社が保有している。ABGはアリの遺族(未亡人ロニー・アリ氏がトラスティを務めるファミリートラスト)と共同でブランドを管理しており、これまでにChampionやRVCAなど複数のアパレルブランドとライセンス契約を結んできた実績がある。sacai×A.P.C.もこうした正式なライセンス供与のもとで実現した企画とみられる。

単なる有名人プリントの域を超え、公民権運動の時代を戦い抜いたアリの姿と、既成概念を壊すsacaiのデザイン、そして機能美を追求するA.P.C.の哲学が三位一体となっている点が、このコラボの最大の見どころだ。

キルティングを手がけるジェシカ・オグデンとは

今回のデザインの核となっているのが、テキスタイルアーティストのジェシカ・オグデン氏によるキルティングだ。オグデン氏は2000年からA.P.C.との協業を開始し、2010年にはジャン・トゥイトゥ氏との「パッチワーク好き」という共通の趣味から、A.P.C.の在庫生地を再活用するキルトプロジェクトが誕生した。

このプロジェクトは毎回異なるテーマで新作を発表しており、直近では蝶の羽の色や模様から着想を得た「Round 26」(2024年11月発表)まで続くロングセラー企画となっている。1ラウンドあたり30点限定で制作され、インド・バンガロール地方の職人が一枚ずつ手縫いで仕上げているという。

  • オグデン氏とA.P.C.の協業開始:2000年
  • キルトプロジェクト誕生:2010年
  • 1ラウンドあたりの制作数:30点限定
  • 直近の発表:Round 26(2024年11月、蝶をモチーフ)

このように長年培われてきた手仕事のノウハウが、sacaiのアイテムにもそのまま反映されている。既存生地の端切れを組み合わせて新しい模様を生み出す手法は、サステナビリティ(持続可能性)の観点からも評価が高い点も付け加えておきたい。

評判と市場での位置づけ

2021年の初コラボは発売直後にほぼ完売したと報じられており、今回も同様の争奪戦になる可能性が高い。sacaiはこれまでNikeやCarhartt WIP、ACRONYMなど数多くのブランドとコラボを重ねてきたが、A.P.C.との組み合わせは「フレンチカジュアルの機能美」と「日本発のリコンストラクション(再構築)技法」という異なる美学のぶつかり合いという点で独特のポジションにある。

個人的な見解を述べると、今回の価格帯の上振れ(最高38万5000円)は、キルティングという手仕事の希少性を考えれば妥当な水準だと感じる。一方で、5万5000円のエントリーモデルが用意されていることで、コアなコレクターだけでなく一般のファンにも門戸を開いている点は評価できるだろう。

補足情報:sacaiとA.P.C.、他ブランドとのコラボ実績

sacaiはこれまでNike、Carhartt WIP、ACRONYM、Dr. Martensなど、ジャンルの異なる多数のブランドとコラボレーションを行ってきた実績がある。一方のA.P.C.も、Nikeやカール・ラガーフェルドとの協業歴を持ち、いずれもミニマルな世界観を保ちながら異素材を取り込むスタイルが特徴だ。

なお、モハメド・アリを起用したアパレルコラボは今回が初めてではなく、Authentic Brands GroupはこれまでにChampionやRVCA、Actively Blackなど複数のスポーツ・カジュアルブランドともライセンス契約を締結している。今回のsacai×A.P.C.は、その中でもハイファッション領域における起用という点で異色の事例といえる。

まとめ

sacaiとA.P.C.による3度目のコラボレーションは、2026年7月10日発売、全10型、価格帯5万5000円〜38万5000円という規模で展開される。

モハメド・アリの肖像とジェシカ・オグデンのキルティングという、一見畑違いの要素を組み合わせた企画は、両ブランドの哲学を凝縮した一着に仕上がっていると言えるだろう。

発売開始と同時に品薄になることが予想されるため、気になる人は早めのチェックをおすすめしたい。

Wooder

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