アイスリボン藤本つかさ、43歳産後3ヶ月でリング完全復帰 8月15日板橋大会に懸ける思い
女子プロレス団体「アイスリボン」の看板選手であり、団体の取締役選手代表も務める藤本つかさ選手が、2026年8月15日、東京・板橋グリーンホールでの大会を舞台に完全復帰することが発表された。
今年5月11日に第2子となる男児を出産してから、わずか3ヶ月あまりでのリング復帰となる。
43歳、二児の母となった女子レスラーの決断の背景には何があるのか、これまでの経歴とあわせて紹介する。
藤本つかさとはどんな選手か
藤本つかさ選手は1983年7月30日生まれで、2026年8月時点で43歳。
2008年8月23日、東京・新木場1stRINGで行われた大会での赤城はるな選手戦がデビュー戦となり、初勝利を飾った。
以来、女子プロレス団体「アイスリボン」の中心選手として活躍を続け、単独管理タイトルだけで10以上のベルトを獲得してきた実績を持つ。
中でも看板タイトルである「ICE×∞王座」は、第5代・第11代・第13代・第18代・第23代・第28代・第32代と、実に7度にわたり戴冠している。
この他にも「インターナショナル・リボンタッグ王座」を7度、「トライアングルリボン王座」を4度獲得しており、2018年には「プロレス大賞・女子プロレス大賞」も受賞するなど、女子プロレス界を代表する選手の一人として長年評価されてきた。
現在は選手としての活動に加え、アイスリボンの取締役選手代表という経営side(経営陣)の立場も兼任している。
出産と育休、そして復帰までの歩み
藤本選手は2022年3月15日、年上の一般男性との結婚を発表。
翌2023年3月7日に第1子となる女児を出産した。
産後は育児休暇を取得したのち、2024年3月8日に「広報部長」という肩書で団体運営に復帰し、選手としてだけでなく団体運営の面でも存在感を示してきた。
そして2026年5月11日、第2子となる男児を出産。
今回はそこからさらにおよそ3ヶ月というスピードでの「選手として」の完全復帰を決断したことになる。
藤本選手のこれまでの主な経歴を時系列で整理すると、以下のようになる。
▶ 2008年8月23日:新木場1stRINGでデビュー(vs赤城はるな)
▶ 2018年:プロレス大賞・女子プロレス大賞を受賞
▶ 2022年3月15日:結婚を発表
▶ 2023年3月7日:第1子(女児)出産
▶ 2024年3月8日:広報部長として団体運営に復帰
▶ 2026年5月11日:第2子(男児)出産
▶ 2026年6月20日:北沢大会で選手としての完全復帰を電撃発表
▶ 2026年8月15日:板橋グリーンホール大会で復帰戦
| 獲得タイトル | 戴冠回数 |
|---|---|
| ICE×∞王座 | 7度(第5・11・13・18・23・28・32代) |
| インターナショナル・リボンタッグ王座 | 7度 |
| トライアングルリボン王座 | 4度 |
「産後3ヶ月」という復帰スピードをどう見るか
一般的に、出産後の女性の身体が妊娠前の状態に近づくまでには、個人差はあるものの数ヶ月から1年程度かかると言われている。
ましてプロレスという身体への負荷が極めて大きい競技において、産後3ヶ月というタイミングでの完全復帰は、決して一般的なスケジュール感ではない。
出産による骨盤まわりの変化や、体幹・筋力の回復度合いを考えると、本来であればより慎重な段階を踏むケースが多いだろう。
それでも藤本選手があえてこのタイミングでの復帰を選んだ背景には、43歳という年齢的なリミットへの意識があるのではないかと筆者は見ている。
女子プロレスに限らず、アスリートにとって「体力・回復力が十分にあるうちに現役でいられる時間」は有限だ。
産後の回復を優先して復帰を先延ばしにするほど、本人が理想とするパフォーマンスとの乖離が大きくなるというジレンマがあった可能性は十分に考えられる。
育児と現役続行を両立させる難しさ
2人目の子どもを育てながら現役選手を続けるというのは、体力面だけでなく生活面でも相応の負担が伴う。
藤本選手はすでに1人目の子育てと選手活動・団体運営を両立させてきた実績があるとはいえ、乳児を抱えながらの巡業・練習スケジュールの管理は容易ではないはずだ。
近年、格闘技・プロレス界では出産後に現役復帰する女性選手が徐々に増えてきている。
かつては「出産=引退」という空気が根強かった競技の世界でも、近年は本人の意志と団体側のサポート体制次第で、育児と現役続行の両立を選べる時代になりつつあると言えるだろう。
アイスリボンという団体自体が、藤本選手をはじめとする既婚・出産経験のある選手を複数抱えていることも、こうした両立を後押ししてきた土壌だと考えられる。
取締役選手代表という経営陣の立場でもある藤本選手が自ら模範を示す形で早期復帰を決めたことは、後に続く選手たちへのメッセージという側面もあるのではないか。
取締役選手代表という「二足のわらじ」
藤本選手のキャリアで特筆すべきなのは、単なる看板選手としてだけでなく、アイスリボンの取締役選手代表という経営の中核も担ってきた点だ。
2024年3月には「広報部長」の肩書で団体運営に加わり、選手としての活動と経営判断の両方に関わる立場を続けてきた。
一般的にプロレス団体では、選手が引退後に経営やフロント業務に転向するケースは多いが、現役選手のまま経営の意思決定にも関わり続けるスタイルは、決して多くの例があるわけではない。
子育て・現役続行・経営判断という3つを同時に抱えるのは相当な負荷だと想像されるが、逆に言えば、選手としての現場感覚を経営判断にダイレクトに反映できるという強みにもなり得る。
今回のような早期復帰の意思決定自体も、経営側の視点と選手としての情熱の両方が合わさった結果なのではないだろうか。
女子プロレス界における「母親選手」という存在
藤本選手に限らず、近年の女子プロレス界では、結婚・出産を経てなお現役を続ける選手が徐々に目立つようになってきている。
かつては「女子プロレスラーは若いうちに引退するもの」というイメージが強かった時代もあったが、団体側の環境整備やファン層の意識の変化もあり、ライフステージが変わっても現役を続けられる選択肢が広がりつつある。
特にアイスリボンのように旗揚げから20年という長い歴史を持つ団体では、デビュー当時10代・20代だった選手たちが、30代・40代を迎えて結婚や出産といったライフイベントを経験するのは自然な流れとも言える。
こうした選手たちがどうキャリアを継続していくかは、団体の今後のあり方を占う上でも一つの試金石になりそうだ。
なぜ今、この話題に注目すべきか
女子プロレス界の話題は、野球やサッカーといったメジャースポーツに比べると大手メディアで大きく報じられる機会が少ないのが実情だ。
今回の藤本選手の復帰についても、専門メディアであるプロレス系ニュースサイトでは報じられているものの、一般的なスポーツニュースやワイドショーで大きく取り上げられている段階ではない。
43歳・二児の母という異例の条件下でのリング復帰は、プロレスファン以外にも「働く母親のロールモデル」として関心を持たれてもおかしくない題材だ。
育児と仕事の両立に悩む多くの人にとって、藤本選手のような「体一つで結果を出すプロフェッショナル」が見せる姿は、業界を問わず示唆に富むものがあるのではないだろうか。
復帰戦当日の情報
復帰戦の舞台となる板橋グリーンホール大会は、2026年8月15日(土)に開催される。
開場は11時30分、開始は12時からで、東武東上線「大山」駅または都営三田線「板橋区役所前」駅から徒歩5分とアクセスも良好な会場だ。
藤本選手はリング上での復帰発表の際、「このリングを盛り上げていく一選手として、全力で藤本つかさの生き様を見せていく」と力強く決意を語ったと伝えられている。
対戦カードの詳細は本稿執筆時点では発表されていないが、今後アイスリボン公式から順次発表される見通しだ。
補足情報
女子プロレス団体「アイスリボン」は、2006年に旗揚げされた団体で、2026年でちょうど旗揚げ20周年の節目を迎えている。
今回の藤本選手の復帰発表自体も、20周年記念大会の一つである6月20日の北沢大会で行われたものであり、団体にとっても大きな節目のタイミングと重なった発表だったと言える。
まとめ
アイスリボンの藤本つかさ選手が、43歳・産後3ヶ月というタイミングで8月15日の板橋グリーンホール大会にてリングに完全復帰することが発表された。
これまで7度のICE×∞王座戴冠など数々の実績を残してきた藤本選手が、二児の母として新たなキャリアの一章をどう歩んでいくのか、復帰戦の内容とあわせて注目したい。