大戸屋「鹿児島県産うな重」7月24日発売 昨年の1.5倍・1万5000食に増量した理由とは
定食チェーンの大戸屋が2026年7月24日(金)より「鹿児島県産うな重」を発売する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000383.000017712.html
数量は先着1万5000食で、これは前年の1万食から1.5倍に増えた計算だ。土用の丑の日(どようのうしのひ、夏の暑い時期にうなぎを食べる風習がある特別な日)は7月26日で、発売はその2日前から始まる。
専用アプリのクーポンを使うと200円引きになるという情報も出ており、価格や調理法にも大戸屋らしいこだわりが詰まっている。今回は数字の裏側にある背景まで含めて詳しく見ていきたい。
土用の丑の日とうなぎを食べる習慣
土用の丑の日とは、季節の変わり目である「土用」の期間のうち、干支(えと)の「丑」にあたる日を指す暦の言葉だ。
2026年の夏は7月26日の1日だけがこれにあたる。
夏の土用は一年でもっとも暑さが厳しい時期と重なるため、古くから体力をつける食べ物を口にする習わしがあった。
うなぎを食べる風習については、江戸時代の学者・平賀源内(ひらがげんない、多才で知られた発明家)が「本日丑の日」と看板を出させたのが広まったきっかけという説が有名だ。
真偽ははっきりしないものの、うなぎに含まれるビタミンB1などの栄養素が夏バテ対策に適していることは事実で、長年にわたり定番のスタミナ食として親しまれてきた。
大戸屋でも毎年この時期になると、国産うなぎを使った期間限定のうな重を提供するのが恒例になっている。今回の「鹿児島県産うな重」もその流れをくむ商品で、ここ数年は数量を段階的に増やしながら販売してきた経緯がある。
「鹿児島県産うな重」の中身をチェック
今回発売される「鹿児島県産うな重」は、鹿児島県産のうなぎを一尾まるごと使用した重箱仕立てのメニューだ。
価格は2,950円(税込)で、お味噌汁とお漬物が付く。専用アプリのクーポンを提示すると200円引きの2,750円で購入できる点も見逃せない。
クーポンが使えるのは7月24日から26日までの3日間に限られており、土用の丑の日当日を含む短い期間だけの特典となる。
全国の一部店舗(東海店や北名古屋店、イオンモール高崎店など12店舗)は対象外となっているため、来店前に自分がよく使う店舗が該当するか確認しておくと安心だ。
数量は例年10,000食前後だったところ、2026年は15,000食まで拡大された。ここ数年の推移を整理すると、以下のようになる。
| 年 | 用意された数量 | 通常価格 | クーポン価格 |
| 2024年 | 10,000食 | 2,880円 | 2,680円 |
| 2025年 | 10,000食 | 2,950円 | 2,750円 |
| 2026年 | 15,000食 | 2,950円 | 2,750円 |
価格はこの2年ほど据え置きのまま、用意する食数だけが大きく増やされた形だ。
仕入れルートや調達量を見直したことで、値上げをせずに数量拡大に踏み切れたと考えられ、外食チェーンとしては思い切った判断ではないだろうか。
うなぎのように相場変動が大きい食材で「値段は据え置き、量だけ増やす」方針を取れるのは、それだけ仕入れ先との関係が安定してきた証拠とも読み取れる。
なお過去の販売実績を振り返ると、数量限定のうな重は毎年発売から数日〜1週間程度で完売する店舗が多く報じられてきた。
今回は1万5000食と過去最大規模の用意ではあるものの、土用の丑の日を含む週末は特に注文が集中しやすいため、確実に食べたい人は発売直後の来店を検討したほうがよさそうだ。
4度焼きへのこだわりと鹿児島県産を選ぶ理由
大戸屋の「鹿児島県産うな重」の特徴は、なんといっても調理法にある。タレをつけては焼くという工程を4回繰り返し、炭火でじっくりと焼き上げているという。表面はパリッと香ばしく、中はふっくらとした食感に仕上げるための手間だ。
鹿児島県は国内有数のうなぎ養殖の産地として知られており、水温管理のしやすさや水質の良さから、身の締まった良質なうなぎが育つとされる。
大戸屋が産地を明記して打ち出しているのは、「手作り」を掲げる同社らしいブランディングの一環と見てよさそうだ。
単に「国産」とうたうよりも、産地を具体的に示したほうが消費者の安心感や特別感につながるという狙いも透けて見える。
蒲焼きの調理法には、背開きにして白焼きしたあとに蒸してから焼く関東風と、腹開きにして蒸さずに焼き上げる関西風がある。
今回のうな重がどちらの流儀に近いかは公表されていないものの、「タレ付けと焼きを4回繰り返す」という工程からは、蒸し工程を挟まずにじっくり火を入れていく関西風に近い焼き方とも受け取れる。
皮目のパリッとした食感を売りにする商品が多いのも、こうした焼き方の特徴が影響していそうだ。
外食チェーンがここまで調理工程を細かく説明する姿勢は好印象といえる。
うなぎのように単価が高く失敗の許されない食材だからこそ、工程を丁寧に開示することが顧客の納得感につながっているのだろう。
冷凍・解凍した蒲焼きを温め直すだけの提供方法とは異なり、店舗で炭火焼きの工程を挟むぶん手間もコストもかかっているはずで、価格に見合う体験を用意しようとする意図が感じられる。
国産うなぎはなぜ高い?価格高騰の裏側
うなぎ料理が「特別な日のごちそう」として扱われる背景には、稚魚であるシラスウナギの不漁が関係している。シラスウナギの取引価格は、2021年には1kgあたり約132万円だったのに対し、2024年には約250万円まで跳ね上がったとされる。
稚魚が思うように獲れない年が続き、養殖に回せる数量そのものが減っていたためだ。
もっとも、2025年はシラスウナギが久しぶりの豊漁となり、取引価格は例年並みまで落ち着いたと報じられている。今回大戸屋が食数を1.5倍に増やせた背景にも、こうした稚魚相場の落ち着きが少なからず影響していると見るのが自然だろう。
うなぎの相場は天候や海流など自然条件に左右されやすく、毎年状況が大きく変わる不安定な市場でもある。
水産研究・教育機構はすでにうなぎの完全養殖(卵から成魚まで人の手で育てる技術)に成功しているものの、コストは天然の稚魚を使う場合の数十倍ともいわれ、商業レベルでの普及にはまだ時間がかかる見通しだ。
本格的な実用化は2030年代後半以降になるとの見方もあり、当面は天然の稚魚に頼らざるを得ない状況が続きそうだ。
こうした不安定な相場のもとで外食チェーンがうなぎメニューを維持し続けるのは、実はかなり神経を使う経営判断だ。仕入れ値が数年で倍近くに跳ね上がることもある食材を、毎年同じような価格帯で提供し続けるには、産地との長期契約や事前の一括仕入れなど、相応の準備が必要になる。
大戸屋が「鹿児島県産」と産地を固定してきたのも、単なる訴求文句ではなく、安定調達のために特定産地との関係を深めてきた結果と見るべきだろう。
他チェーンのうなぎメニューと比べてみる
うなぎメニューを扱っているのは大戸屋だけではない。牛丼チェーン各社も夏場にはうなぎをラインナップに加えており、価格帯や提供スタイルを比べてみると、大戸屋の立ち位置がよくわかる。
| チェーン・商品名 | 価格の目安 | 特徴 |
| すき家 うな丼(並盛) | 980円 | 丼スタイル、ご飯大盛も選べる |
| すき家 うな牛(並盛) | 1,190円 | 牛肉とうなぎを一緒に楽しめる |
| 吉野家 鰻重(一枚盛) | 1,185円 | 通年提供のグランドメニュー |
| 大戸屋 鹿児島県産うな重 | 2,950円(クーポン2,750円) | 一尾まるごと・4度焼き・期間限定 |
こうして並べると、大戸屋の価格は牛丼チェーンのうなぎメニューの2倍以上であることがわかる。もっとも、うなぎの使用量や調理の手間を考えれば単純な比較は難しく、「手軽に楽しむうなぎ」と「一尾まるごとのごちそう感」という、そもそもの狙いが違う商品だと捉えたほうがよさそうだ。
値段だけを見て割高と切り捨てるのではなく、何にお金を払うのかという視点で選ぶのが賢い付き合い方ではないだろうか。
数量限定・アプリクーポン・産地表示という組み合わせは、近年の外食業界に共通する販売手法でもある。話題性を作りつつ原価の変動リスクも抑えられる、双方にとって理にかなった仕組みといえるだろう。
ちなみに、うなぎ専門店の「鰻の成瀬」のように1杯1,000円前後の低価格路線で急拡大しているチェーンもあり、うなぎ市場全体で見ても「手軽な日常価格帯」と「特別な日のごちそう価格帯」への二極化が進んでいる印象を受ける。
大戸屋の「鹿児島県産うな重」は、明確に後者、つまり特別な日のごちそう需要を狙った商品と位置づけられる。
アプリ会員でなくても知っておきたい注意点
今回のクーポン割引を受けるには、大戸屋の公式アプリへの会員登録が前提となる。普段アプリを使っていない人は、来店前にダウンロードと登録を済ませておかないと、当日200円引きの恩恵を受けられない可能性がある点は覚えておきたい。
また、うな重は単品での注文ができない点にも注意が必要だ。味噌汁とお漬物が付いた定食としての提供に限られるため、価格を比較する際は「本体価格+サイドメニュー」までを含めた実質的な満足度で考えるのが妥当だろう。
アプリ限定クーポンという仕組みは、店舗側にとっても利用者データを蓄積できる利点がある。値引きという形で還元しながら顧客との接点を増やす手法は、外食業界全体で年々広がっており、大戸屋も例外ではないというわけだ。普段使わない人ほど、この機会にアプリを試してみる価値はあるだろう。
知っておきたい豆知識
大戸屋は「大戸屋ごはん処」という店舗名が示す通り、定食スタイルでの食事を軸にした業態だ。夏場だけの限定メニューでも味噌汁とお漬物を必ず添えるのは、丼メニューが主流の他チェーンとの違いを際立たせる、ちょっとした差別化ポイントともいえるだろう。
また、うなぎにはビタミンB1・B2・Aなど複数のビタミン類が豊富に含まれ、疲労回復や粘膜の健康維持に役立つとされる。土用の丑の日という行事食としてだけでなく、栄養面から見ても夏場に理にかなった食材だ。
ちなみに「土用」はうなぎの日だけを指す言葉ではなく、本来は立春・立夏・立秋・立冬それぞれの前の約18日間を指す。年に4回訪れる季節の節目のうち、夏の丑の日だけがうなぎの風習と結びついて広く定着したというのも、知っておくとちょっとした話のタネになりそうだ。
まとめ
大戸屋は2026年7月24日から「鹿児島県産うな重」を発売し、数量は昨年の1.5倍となる1万5000食を用意する。
価格は2,950円で、アプリクーポンを使えば2,750円で楽しめる。
4度焼きの手間や産地へのこだわりからは、価格高騰が続く国産うなぎを扱う外食チェーンなりの工夫がうかがえる。
土用の丑の日を控えたこの時期、行きつけの店舗が対象かどうかを確認したうえで、早めに足を運んでみてはいかがだろうか。