「日本ホラーゲーム大賞2026」投票締切は本日8月4日正午 大賞候補7作品と全9部門を総まとめ
「日本ホラーゲーム大賞2026」というアワードのユーザー投票が、本日2026年8月4日の正午に締め切られる。
ホラーゲームを愛するファンやクリエイターが選ぶ、今年初めて開催されるアワードだ。
対象となるのは2025年3月1日から2026年3月31日までにリリースされた、ホラー表現を含むゲーム作品全般である。
大賞候補には『サイレントヒルf』や『バイオハザード レクイエム』といった話題作が名を連ねており、ホラーゲームファンの間で静かな注目を集めている。
この記事では、アワードの仕組みからノミネート作品、審査員の顔ぶれまで詳しく紹介する。
「日本ホラーゲーム大賞」とは何か
「日本ホラーゲーム大賞2026」は、KADOKAWA Game Linkageがプロデュースする新設のアワードだ。
企画・運営を担うのは「百室(ひゃくむろ)」と呼ばれる組織で、ホラーゲーム領域の優れた恐怖表現を観測・アーカイブすることを目的に活動している。
選考方法はやや変わっていて、「ユーザー審査員投票」「クリエイター審査員投票」「メディア審査員投票」という3種類の投票結果を集計したうえで、最終的に百室が選考基準に基づいて受賞作を決定する三層構造になっている。
一般ファンの一票が、プロの審査員と同じ土俵で受賞作の行方を左右する点が大きな特徴と言えるだろう。
なお、クリエイター審査員は自身が関わった作品には投票できないルールが設けられており、公平性への配慮がうかがえる。
アワードの発表の場となるのは、2026年9月11日から13日まで東京ドームシティ プリズムホールで開催されるイベント「東京ホラー特区!!2026」だ。
授賞式は初日の9月11日に行われる予定で、会場では別枠として出展作限定・来場者投票による「インディーホラーゲームアワード2026」も同時開催される。
今回のキービジュアルは、『ファイナルファンタジー』シリーズのイラストで知られる天野喜孝氏が描き下ろしたもので、この点だけでもアワードへの気合いの入り方がうかがえる。
| ユーザー投票開始 | 2026年7月14日(火)正午 |
| ユーザー投票締切 | 2026年8月4日(火)正午 |
| 結果発表・授賞式 | 2026年9月11日(金) |
| 会場 | 東京ドームシティ プリズムホール(東京都文京区) |
| ノミネート対象期間 | 2025年3月1日〜2026年3月31日リリース作品 |
大賞候補7作品、豪華ラインナップの中身
今回の大賞にノミネートされているのは、全部で7作品だ。
『サイレントヒルf』(2025年9月25日発売)、『零 〜紅い蝶〜 REMAKE』(2026年3月12日発売)、『バイオハザード レクイエム』(2026年2月27日発売)という、日本を代表する大手3社の看板ホラータイトルがそろって顔を出している点がまず目を引く。
一方で『REANIMAL』『ROUTINE』『No Players Online』『ミメシス』といった、海外インディースタジオによる意欲作も並んでおり、大作偏重にならないバランスの良さがうかがえる。
特に『ミメシス』は韓国大手パブリッシャーKRAFTONが手がけるタイトルで、2025年10月27日の発売以降、じわじわと評価を高めてきた作品だ。
大手3社が同時に本気のホラー新作を送り出したこと自体、2025年から2026年にかけてがホラーゲームの当たり年だったことを物語っていると言っていいだろう。
かつてホラーゲームは「売れにくいニッチジャンル」と見なされがちだったが、大手が続けて開発リソースを投入している事実は、市場の評価が変わりつつある証拠と見ることもできる。
ちなみに『バイオハザード レクイエム』は2026年2月27日、『REANIMAL』は2月13日、『零 〜紅い蝶〜 REMAKE』は3月12日と、いずれもノミネート対象期間の終盤に発売時期が集中している。
年度末にかけて大型ホラータイトルの発売が固まったのは偶然かもしれないが、結果として今回のノミネートリストはここ半年の話題作をほぼ網羅する形になった。
| 作品名 | 開発・販売 | リリース日 |
| サイレントヒルf | NeoBards Entertainment/KONAMI | 2025年9月25日 |
| 零 〜紅い蝶〜 REMAKE | Team NINJA/Koei Tecmo Games | 2026年3月12日 |
| バイオハザード レクイエム | CAPCOM | 2026年2月27日 |
| REANIMAL | Tarsier Studios/THQ Nordic | 2026年2月13日 |
| ROUTINE | Lunar Software/Raw Fury | 2025年12月4日 |
| No Players Online | Beeswax Games | 2025年11月6日 |
| ミメシス | ReLU Games/KRAFTON | 2025年10月27日 |
大賞以外の8部門も個性豊か
「日本ホラーゲーム大賞2026」は大賞のほかに、全部で8つの部門賞を設けている。
▶ ホラーナラティブ・演出賞
▶ ホラーアート・映像表現賞
▶ ベストホラークリーチャー賞
▶ サイコロジカルホラー賞(心理的恐怖を主軸にした作品が対象)
▶ サバイバルホラー賞(資源管理・生存要素の強い作品が対象)
▶ マルチプレイホラー賞
▶ 神話伝承・宇宙的恐怖賞(クトゥルフ神話のような、人知を超えた恐怖を描く作品が対象)
▶ 現実と非現実の間賞
個人的に興味深いのは「ベストホラークリーチャー賞」で、伊藤潤二の漫画『マニアック』に登場する富江や、『バイオハザード レクイエム』の敵キャラクター「The Girl」、『Poppy Playtime』シリーズの人気キャラクター「ハギーワギー」まで、ジャンルを横断したキャラクターたちが横並びでノミネートされている。
ゲームだけでなく漫画由来のキャラクターも対象に含めている点から、このアワードが単なる「ゲーム好きのお祭り」にとどまらず、ホラーカルチャー全体を包括的に扱おうとする姿勢がうかがえる。
サイコロジカルホラー賞には『Cronos: The New Dawn』や『サイレントヒルf』など7作品がノミネートされており、心理的な恐怖描写に定評のある作品が集まっている。
通常のゲームアワードなら「ストーリー賞」「グラフィック賞」といった大ざっぱな区分になりがちだが、ここまで恐怖表現を細分化して部門を設計している点に、主催側のこだわりの強さがにじみ出ている。
神話伝承・宇宙的恐怖賞には『家へ帰れ』『Cult of the Yellow King』など7作品がノミネートされており、ホラーアート・映像表現賞にも『The Midnight Walk』『Bye Sweet Carole』といった映像美で評価の高い作品が並んでいる。
各部門ともノミネート作品数は6〜7本程度に絞り込まれており、票が過度に分散しない工夫がなされている点も、投票する側にとっては選びやすい設計と言えそうだ。
審査員は業界の第一人者ばかり
審査員の顔ぶれも、このアワードの本気度を示している。
ユーザー投票と並行して行われるクリエイター審査員投票には、14名・団体もの業界人が名を連ねている。
『Silent Hill』シリーズのプロデューサーを務めるコナミデジタルエンタテインメントの岡本基氏、『SIREN』や『Slitterhead』の生みの親として知られるBokeh Game Studio代表の外山圭一郎氏、『零』シリーズのディレクターを務めるコーエーテクモゲームスの柴田誠氏など、ホラーゲームの歴史そのものを作ってきた人物ばかりだ。
ユーザー投票の呼びかけ役を担う審査員としては、ホラーゲーム実況で知られるガッチマン氏、制作集団「墓場文庫」で『和階堂真の事件簿』シリーズなどを手がけるハフハフ・おでーん氏、そして『夜廻』シリーズのディレクターである日本一ソフトウェアの溝上侑氏の3名が選ばれている。
このほかにも、『moon』や『RULE of ROSE』で知られるOnion Games代表の木村祥朗氏、オカルト雑誌『ムー』の編集長を務める望月哲志氏、小説家で『サイレントヒル』関連ノベライズを手がける黒史郎氏など、ゲーム・出版・オカルトカルチャーを横断する顔ぶれが並ぶ。
海外からも、『FAITH』シリーズのディレクターMason Smith氏や映画監督でもあるAndrés Borghi氏が参加しており、国内外・メディアの垣根を越えた審査体制になっている点も特徴的だ。
現役クリエイターとファンコミュニティの双方が投票権を持つ設計は、業界内の評価と市場の熱量を同時にすくい上げようとする狙いがあるとみられる。
なお審査員には、ホラーゲーム専門Vtuberの人生つみこ氏や、ホラーユニット「バミューダ3」といった配信・エンタメ発の人材も含まれている。
開発の第一線に立つプロデューサーだけでなく、発信力を持つ配信者やコンテンツ制作者まで審査に加わっているあたり、単なる業界内評価にとどまらない、幅広い視点を取り込もうとする設計思想が見て取れる。
世界的に盛り上がるホラー・インディーゲーム市場
このアワードが新設された背景には、ホラーゲームを含むインディーゲーム市場全体の急成長がある。
調査会社Mordor Intelligenceによると、世界のインディーゲーム市場規模は2025年の48億5,000万ドルから2026年には55億4,000万ドルに拡大する見込みだという。
さらに2031年までには108億3,000万ドルに達すると予測されており、年平均成長率(CAGR)は14.32%という高水準だ。
ゲーム配信プラットフォームSteamでは、2025年の年間リリース数が19,112本に達し、2024年の18,559本を上回って過去最多を更新した。
興味深いのは、リリース数が増える一方でレビュー100件以上を獲得した作品数は減少傾向にあるという指摘だ。
つまり新作が乱立する分、ユーザーの目に留まりにくくなっているということであり、こうした状況こそが「日本ホラーゲーム大賞」のようなキュレーション型アワードの存在価値を高めていると言えそうだ。
なお市場全体で見ると、モバイル向けタイトルが51.42%のシェアを占めており、スマートフォンでも手軽にホラー体験ができる環境が整いつつあることも追い風になっているとみられる。
これだけ大量の新作が生まれる中で、埋もれがちなインディーホラー作品にスポットライトを当てる仕組みとして、こうしたアワードの存在意義は今後さらに高まっていくのではないだろうか。
世界のインディーゲーム市場全体でも、2025年のPC・コンソール向けダウンロード数は10億本を超えたとされ、Steamは収益面でも過去最高を更新する勢いが続いている。
こうした活況の中で、審査員・ファン双方の視点を反映するアワードが果たす「目利き」としての役割は、今後ますます重みを増していくとみてよいだろう。
似て非なる「インディーホラーゲームアワード」
「日本ホラーゲーム大賞」と紛らわしいが別物として、会場限定・来場者投票制の「インディーホラーゲームアワード2026」も同時開催される。
こちらは東京ホラー特区の会場に出展したインディー作品のみが対象で、来場者がその場で投票する仕組みのため、オンラインのユーザー投票とは別枠の賞となる。
また「日本ホラーゲーム大賞」という名称は、1994年から続く老舗文学賞「日本ホラー小説大賞」や、2021年開始の「日本ホラー映画大賞」と字面が似ているため、SNS上では混同する声も見られる。
ゲーム部門としては今回が初開催とみられ、今後「日本ホラー」を冠したアワードが小説・映画・ゲームの3ジャンルで並び立つ形になりそうだ。
まとめ
「日本ホラーゲーム大賞2026」のユーザー投票は本日8月4日正午に締め切られ、結果は9月11日の授賞式で明らかになる。
大賞候補には『サイレントヒルf』『バイオハザード レクイエム』『零 〜紅い蝶〜 REMAKE』という大手3社の看板作が並び、部門賞まで含めるとインディー作品や漫画由来のキャラクターまで幅広くノミネートされている。
世界のインディーゲーム市場が拡大を続ける中、日本発のこうしたアワードがホラーゲーム文化にどんな影響を与えていくのか、9月の発表に注目したい。