『口に関するアンケート』初登場3位&邦画実写No.1発進 動員10万7723人・興収1億5427万9340円の内幕
清水崇監督のホラー映画『口に関するアンケート』が、2026年7月3日に全国342館で公開された。
公開から3日間の成績は動員10万7723人、興収1億5427万9340円だった。
週末興行成績ランキングでは初登場3位を記録し、邦画実写作品としてはNo.1のスタートとなった。
原作は「背筋(せすじ)」による手のひらサイズの小説で、ページ数はわずか60ページほどだが、累計部数は30万部を超えている。
主演を務めたのは板垣李光人(いたがき りひと)で、実写映画では単独初主演となった。
今回はこのヒットを、具体的な数字とともに掘り下げていく。
原作小説から映画化までの経緯
『口に関するアンケート』の原作小説は、ホラー作家・背筋が手がけ、2024年9月4日にポプラ社から刊行された。
判型はA6変型判(文庫本よりも小さいサイズ規格)で、縦115ミリ×横85ミリというスマートフォンよりも小さいサイズが特徴だ。
カバーや帯を持たないシンプルな装丁で、本文はわずか63ページしかない。
それにもかかわらず、発売から1カ月足らずで10万部を突破し、約1カ月後には15万部に到達した。
その後も勢いは衰えず、2025年6月13日に22万部、同年11月25日には電子書籍を含めて累計32万部を突破している。
SNSでは「小さすぎて逆に怖い」「怖すぎて人に薦めたくても薦められない」といった感想が拡散し、話題が話題を呼ぶ形でヒットが加速した。
この原作を実写化したのが、『呪怨(じゅおん)』シリーズで知られる清水崇監督だ。
清水監督はハリウッドリメイク版『THE JUON 呪怨』で北米興収1億ドルを突破させ、日本人監督として初めて全米興行成績1位を獲得した実績を持つ。
主演には板垣李光人が抜擢され、村井翔太役で実写映画単独初主演を務めた。
共演には綱啓永、吉川愛、MOMONA(ME:I)、森愁斗(BUDDiiS)、西山智樹(TAGRIGHT)に加え、中村獅童や柄本時生といったベテラン勢も名を連ねている。
脚本は山浦雅大が担当し、上映時間は89分というホラー映画としてはコンパクトな尺にまとめられている。
こうした布陣で臨んだ本作が、2026年7月3日についに公開を迎えた。
公開3日で動員10万7723人、興収1億5427万9340円という数字の意味
まず注目したいのは、公開3日間で動員10万7723人、興収1億5427万9340円という具体的な数字だ。
1館あたりに換算すると、全国342館で動員は約315人、興収はおよそ45万円というペースになる。
ホラー映画は若年層やコアなファン層に支持される一方で、幅広い客層を取り込みにくいジャンルとも言われる。
それでも初登場でランキング3位に入り込んだことは、原作ファンだけでなく一般層にも作品が届いた証拠だと考えられる。
特に興収1億5427万9340円という金額は、公開初週末のホラー映画としては十分にヒットと呼べる水準だ。
この数字の背景には、「短い原作をどう89分の映画に仕立てるのか」という観客の関心の高さがあったと考えられる。
しかも、この数字は平日を含まない金土日の3日間だけで積み上げられたものだ。
学生や社会人が動きやすい週末にこれだけの動員を記録できたことは、口コミが本格的に広がる前の「初速」としては上々の滑り出しと言えるだろう。
興収を動員数で単純に割ると、観客1人あたりの平均鑑賞料金は約1432円という計算になる。
この金額は、レイトショーや各種割引サービスの利用者が一定数含まれていることをうかがわせる水準だ。
▶ 公開3日間で動員10万7723人、興収1億5427万9340円
▶ 週末ランキング初登場3位、邦画実写No.1発進
▶ 原作は累計32万部超のヒット小説(2025年11月時点)
▶ 監督は『呪怨』シリーズの清水崇、主演は実写単独初主演の板垣李光人
邦画実写No.1発進はどれだけすごいのか 競合作品と比較
週末ランキングを振り返ると、1位は『トイ・ストーリー5』で、動員164万人、興収24億1500万円という圧倒的な数字を記録した。
2位は『Michael/マイケル』で、週末3日間の動員33万4000人、興収5億3900万円を記録し、公開からの累計では動員308万人、興収49億円に達している。
この2作品と比較すると、『口に関するアンケート』の動員10万7723人という数字は決して大きいとは言えない。
しかし1位と2位はいずれもアニメ超大作とハリウッド大作で、公開規模も宣伝規模も桁違いだ。
そうした大作に挟まれながら3位に食い込み、なおかつ邦画実写作品の中ではNo.1発進を果たした点は評価に値する。
ちなみに4位には『黒牢城』が入り、累計動員60万人、累計興収8億円となっている。
これは公開から一定期間が経過した作品の累計数字であり、単純比較はできないものの、参考値として押さえておきたい。
近年の邦画実写ホラーは、動員数万人規模で興行を終える作品も珍しくないなかで、公開3日間だけで10万人を超えたのは目を引く数字だ。
なお、同じように1人あたりの平均鑑賞料金を計算すると、『トイ・ストーリー5』は約1472円、『Michael/マイケル』は約1614円となる。
『口に関するアンケート』の約1432円という数字は他の上位2作品よりやや低めだが、大きな乖離があるわけではなく、料金面での特殊要因は見当たらない。
今後は口コミによる動員の上乗せがどこまで期待できるかが、最終的な累計興収を大きく左右するだろう。
以下に主要な週末ランキング上位作品の数字を整理した。
| 順位 | 作品名 | 動員数 | 興行収入 |
| 1位 | トイ・ストーリー5 | 約164万人(週末3日間) | 約24億1500万円(週末3日間) |
| 2位 | Michael/マイケル | 約33万4000人(週末3日間) | 約5億3900万円(週末3日間) |
| 3位 | 口に関するアンケート | 10万7723人(公開3日間) | 1億5427万9340円(公開3日間) |
| 4位 | 黒牢城 | 累計60万人 | 累計8億円 |
なぜ売れた?「手のひらサイズ」の原作小説とSNSの拡散力
今回のヒットを語るうえで欠かせないのが、原作小説そのものが持つ話題性だ。
縦115ミリ×横85ミリというスマートフォンよりも小さい判型は、書店の店頭で強い存在感を放った。
「小さいのに中身は本格ホラー」というギャップが、SNS上での拡散につながったと見られる。
63ページという分量は一見すると軽く読めそうだが、内容は読者に強い読後感を残す構成になっているという評判が広がった。
発売から1カ月足らずで10万部、約1カ月後に15万部という初速の良さは、口コミの伝播スピードの速さを物語っている。
その後も2025年6月に22万部、同年11月に32万部と着実に部数を伸ばし、映画公開のタイミングでさらに認知度が高まった構図だ。
こうした「話題になりやすい形状」を持つコンテンツは、映像化の際にも原作ファンの関心を維持しやすいという見方もできる。
出版から映画公開までおよそ1年10カ月というスパンの短さも、原作の熱量を落とさないまま実写化にこぎ着けられた要因の一つだろう。
短期間で部数を伸ばした話題作ほど、映像化までのタイミングが早いほうが原作ファンの熱量を取り込みやすい傾向がある。
実際に、公開3日間で動員10万人を超えたことは、原作の熱量が映画館への来場行動にまで結びついた結果と言えるだろう。
清水崇監督×板垣李光人、初主演というリスクとリターン
本作のもう一つの注目点は、清水崇監督と板垣李光人という組み合わせだ。
清水監督は『呪怨』シリーズで国内外に知られるJホラー(日本発のホラー映画ジャンル)の旗手であり、ハリウッド版では北米興収1億ドルという実績も持つ。
実写映画で単独初主演となる板垣李光人を主演に据えたことは、興行的には一定のリスクを伴う判断だったとも考えられる。
知名度が確立しきっていない主演俳優を起用する場合、観客動員が伸び悩むケースも少なくないからだ。
それでも初登場3位・邦画実写No.1という結果を見る限り、このキャスティングは的中したと評価できる。
共演陣には綱啓永や吉川愛といった若手に加え、中村獅童や柄本時生というベテランも配置されており、幅広い年齢層の観客を意識した布陣だったことがうかがえる。
板垣李光人はこれまでドラマや舞台を中心に活動してきた俳優であり、今回の実写映画単独初主演は本人にとっても大きな挑戦だったといえる。
その挑戦が初登場3位という結果に結びついたことは、今後の俳優キャリアにとっても大きな意味を持つはずだ。
監督・主演の双方にとって勝負作となった本作が、公開直後の段階で明確な結果を出したことの意義は小さくない。
ホラー映画としての恐怖演出と、キャスト陣の演技力の両輪がかみ合ったことが、初動の数字に表れたのではないだろうか。
公開直後の観客レビューをどう見るか
映画レビューサイトのFilmarksでは、公開直後の時点で本作の評価は5点満点中2.9点、レビュー件数は153件となっている。
数字だけを見ると平均的な評価に映るかもしれないが、ホラー映画は観客ごとの好みが分かれやすいジャンルであり、評価が割れること自体は珍しくない。
レビューの傾向としては、清水崇監督ならではの音響演出や「間」の取り方を評価する声がある一方で、原作が短編小説であるがゆえにストーリーの掘り下げに物足りなさを感じる声も見られる。
原作が63ページという短さである以上、映画化にあたっては新たなエピソードやオリジナルキャラクターを加える必要があったと考えられる。
実際、草壁(中村獅童)や西(柄本時生)といった刑事・週刊誌記者の役どころは、原作にはないオリジナルキャラクターとして追加されている。
この改変が原作ファンにどう受け止められるかは、今後の週末ごとの動員推移を左右する重要なポイントになりそうだ。
補足情報 ― 入場者特典と海外映画祭への出品
映画『口に関するアンケート』では、公開2週目にあたる2026年7月10日から入場者特典の配布が始まっている。
特典は「ゾワっと!?メイキングカード」と名付けられ、原作と同じ手のひらサイズのカードに仕上げられている。
表面にはメインビジュアル、裏面にはメイキング映像を視聴できるQRコードが印刷されており、数量限定でなくなり次第終了となる。
また本作は国内公開に先立ち、プチョン国際ファンタスティック映画祭、シッチェス・カタロニア国際映画祭、カナダのファンタジア国際映画祭といった海外の映画祭にも出品されている。
Jホラー作品が海外の映画祭で評価されるのは近年珍しくないが、公開前から国際的な注目を集めていたことは、興行成績にも一定のプラス材料になったと考えられる。
まとめ
『口に関するアンケート』は、公開3日間で動員10万7723人、興収1億5427万9340円を記録し、週末ランキング初登場3位・邦画実写No.1という結果を残した。
手のひらサイズの原作小説が持つ話題性と、清水崇監督・板垣李光人という布陣がかみ合ったことが、この初動につながったと言えそうだ。
入場者特典の配布や海外映画祭への出品など、公開後も話題づくりは続いている。
今後の週末ごとの動員推移や、累計成績がどこまで伸びるのかにも注目が集まる。