バレーボール男子日本代表、VNL予選ラウンドで大会史上初の11連勝 カナダに逆転勝ちからベルギー撃破まで
2026年のVNL(バレーボールネーションズリーグ)予選ラウンドで、男子バレーボール日本代表の快進撃が続いている。
7月16日にカナダを3-2で下して開幕10連勝を達成すると、翌17日にはベルギーをストレートで下し、ついに11連勝に到達した。
これは大会史上初の記録であり、予選ラウンドの1位通過も同時に確定した。
世界ランキング上位国がひしめくVNLでの快進撃だけに、その価値は小さくない。
ここでは連勝の中身と今後の展望を、具体的な数字とともに詳しく振り返る。
VNLとは、そして連勝までの道のり
VNL(バレーボールネーションズリーグ)は、国際バレーボール連盟(FIVB)が2018年から開催している国際大会である。
オリンピックや世界選手権と並ぶ世界最高峰の大会のひとつと位置づけられており、世界ランキング上位国が毎年顔を揃えてリーグ戦を戦う。
2025年大会からは出場国が男女とも18チームに拡大された。
予選ラウンドでは各国が12試合を戦って順位を争い、上位7チームと開催国を合わせた8チームがファイナルラウンドに進出する仕組みだ。
ファイナルラウンドはノックアウト方式のトーナメントで行われ、そこで初めて優勝チームが決まる。
前回2024年大会では、日本代表は男女ともに銀メダルを獲得し、パリオリンピックの前哨戦としても大きな注目を集めた。
今大会の日本は開幕から白星を積み重ね、7月16日の時点で開幕10連勝を達成していた。
これは2023年大会以来、3年ぶりとなる開幕からの無傷の10連勝であった。
カナダ戦、2セット先取からの大逆転劇
7月16日、大阪のアスエアリーナ大阪で行われた予選ラウンドの一戦で、日本はカナダと対戦した。
第1セットを18-25、第2セットを24-26で連取され、序盤は苦しい展開を強いられた。
カナダは強烈なサーブとブロックで日本を追い詰めており、この時点で敗戦を覚悟した観客も少なくなかったはずだ。
しかし日本は第3セットを29-27の接戦でものにすると、第4セットを25-19、続く第5セットを15-11で制し、セットカウント3-2の大逆転勝利を収めた。
得点面では大塚達宣が18得点、宮浦健人が15得点、富田将馬が14得点とトップスコアラーに名を連ねた。
注目すべきは、この試合が5試合連続のフルセット勝利だったという点である。
接戦を勝ち切る精神力とスタミナは一朝一夕には身につかないものであり、今大会の日本代表が勢いだけでなく粘り強さも兼ね備えていることがうかがえる。
控え選手の奮闘が際立った一戦でもあり、選手層の厚さが結果に表れたと言えるだろう。
序盤2セットを落とした時点で試合を投げ出すのではなく、修正を重ねながら流れを引き戻せたことは、チームとしての完成度の高さを物語っている。
特に第3セットを29-27というデュースの連続でものにできたことは大きい。
仮にこのセットを落としていれば、そのままストレート負けで連勝が10でストップしていた可能性も十分にあった。
土壇場での一本を確実に決め切る集中力こそが、今大会の日本代表を象徴する強さだと言えるだろう。
この連勝を数字で振り返る
ここまでの戦いぶりを数字で整理すると、いくつもの記録が並んでいることが分かる。
▶ 開幕10連勝は2023年大会以来、3年ぶりの記録
▶ ベルギー戦勝利で大会史上初の11連勝を達成
▶ 予選ラウンドの1位通過が既に確定
▶ カナダ戦は5試合連続のフルセット勝利という粘り強さ
▶ 次戦は7月19日、アルゼンチン代表と対戦予定
カナダ戦とベルギー戦、内容の異なる2つの勝利のスコアを表にまとめた。
| 対戦相手 | 結果 | セットスコア |
|---|---|---|
| カナダ | 3-2で勝利 | 18-25, 24-26, 29-27, 25-19, 15-11 |
| ベルギー | 3-0で勝利 | 25-20, 25-22, 25-16 |
カナダ戦がフルセットにもつれる大接戦だったのに対し、ベルギー戦はセットを一つも落とさない完勝であり、内容の違いが数字にはっきりと表れている。
苦しい試合を粘り切る力と、格上の相手を危なげなく退ける力、そのどちらも兼ね備えていることが、この2試合のスコアから読み取れる。
連勝の中身が単調でないという点は、今後さらに厳しい相手と対戦する決勝ラウンドを見据えるうえでも心強い材料になる。
接戦をものにできるチームは往々にして精神的な脆さも抱えやすいものだが、今の日本代表にはそうした危うさがほとんど感じられない。
ベルギー戦、史上初11連勝と主力温存采配
翌7月17日、日本は同じ会場でベルギーと対戦した。
結果は25-20、25-22、25-16のストレート勝ちで、セットを一つも落とすことなく完勝した。
この勝利により、日本は大会史上初となる開幕11連勝を達成し、予選ラウンドの1位通過も同時に確定させた。
注目すべきは、キャプテンの石川祐希や髙橋藍、西田有志といった主力メンバーがこの試合でベンチスタートだった点である。
甲斐優斗がブロックとスパイク、サービスエースで躍動し、山内晶大が要所でブロックポイントを積み重ね、途中出場の髙橋藍もサービスエースを決めた。
宮浦健人もサービスエースを決めるなど、控え組主体の布陣でも安定した戦いを見せた。
主力を温存しながらも控え組がしっかりと結果を出せる選手層の厚さは、今後の連戦や決勝ラウンドを見据えるうえで大きな強みになるはずだ。
ベルギーのエース格フェレ・レガースは試合最多得点を挙げながらも、「3セットでエラー8は多すぎる」と脱帽するコメントを残しており、日本の完成度の高さが際立つ結果となった。
前日にフルセットの死闘を演じた直後の試合でストレート勝ちを収めた点も見逃せない。
連戦による疲労が蓄積しやすい日程のなかで、切り替えの早さと集中力の高さを両立できたことは、チームの精神的な成熟を感じさせる。
指揮官ロラン・ティリの采配と選手層の厚さ
この連勝を支えているのが、指揮官ロラン・ティリの采配だ。
主力に頼り切らず、大塚達宣や宮浦健人、甲斐優斗、山内晶大といった控えメンバーを積極的に起用し、接戦でも息切れしない体制を整えてきた。
カナダ戦のような苦しいフルセットの試合を勝ち切れたのは、誰が出ても戦力が落ちないという選手層の厚さがあってこそだろう。
ベルギー戦のように主力を計算高く休ませながら勝ち切れる余裕も、長丁場の予選ラウンドを勝ち抜くうえで欠かせない要素だ。
個々の選手のコンディションを管理しながら、チーム全体の勝負強さを両立させている点に、この代表チームの強さの本質があるように見える。
一部の主力選手だけに依存したチームでは、これほど長い連勝は難しかったはずだ。
誰が出場しても大きく戦力が落ちないという安心感は、選手個々のモチベーションにも良い影響を与えているのではないだろうか。
出場機会を得た選手が結果を残せば、次はさらに競争が激しくなり、それが好循環となってチーム全体の底上げにつながっているように見受けられる。
連勝が持つ意味と今後の注目ポイント
11連勝という数字は、単に勝ち星が並んだという以上の意味を持つ。
予選ラウンドは各国が12試合を戦う長丁場であり、コンディション維持や選手のやりくりが難しい日程だ。
そのなかで一度も連勝が途切れなかったという事実は、選手層の厚さと精神的な強さの両方が備わっている証と言えるだろう。
現在のFIVB世界ランキングで日本は4位に位置し、日本より上位にいるのはポーランド、イタリア、ロシアの3カ国のみである。
予選ラウンドを終えた時点で決勝ラウンド進出を確定させているのは、開催国の中国を除くと日本、アメリカ、ポーランド、スロベニアの4カ国であり、残る枠をイタリアやブラジル、フランスなどが争っている状況だ。
強豪がひしめく混戦のなかで、誰よりも早く決勝ラウンド進出と1位通過を決めた点にも、今回の11連勝の価値がはっきりと表れている。
残り試合の結果次第で細かい組み合わせは変わるものの、日本が最上位グループの一角にいる状況そのものは揺るがないだろう。
数年前まで格上として苦戦を強いられてきた相手にも互角以上に戦えるようになった背景には、選手個々の海外経験の蓄積も影響しているとみられる。
日本は次戦、7月19日にアルゼンチン代表と対戦する予定で、予選ラウンド全勝という新たな記録がかかる一戦になる。
すでに1位通過は確定しているとはいえ、ここで気を緩めず全勝で予選ラウンドを終えられるかは、決勝ラウンドに向けた勢いづくりの観点でも見逃せないポイントだ。
決勝ラウンドの準々決勝では、開催国である中国との対戦がすでに決まっており、アウェーの厳しい雰囲気のなかでどこまで戦えるかが今後の焦点になる。
ここまでの戦いぶりを踏まえると、日本代表が世界の強豪と互角以上に渡り合える力を持っていることは間違いない。
一方で、決勝ラウンドはノックアウト方式であり、一度の敗戦がそのまま敗退につながる緊張感の高い戦いになる。
予選ラウンドで培った勝負強さを、そのまま決勝の舞台でも発揮できるかが今後最大の注目点だ。
知っておきたいVNLの豆知識
VNLは予選ラウンドの成績によって翌年以降の出場国が入れ替わる仕組みを持ち、成績が振るわない国は下部大会への降格もありうる緊張感のあるリーグ戦だ。
日本は2018年の大会創設以来、着実に力をつけてきた歴史があり、前回2024年大会では男女ともに銀メダルという結果を残している。
開幕から11連勝という数字は大会史上初めての記録であり、今後の大会でもそう簡単には破られない数字になる可能性が高い。
現行の大会形式では、予選ラウンドでの成績が翌シーズンの出場権にも影響するため、上位国であっても毎試合が真剣勝負にならざるを得ない緊張感がある。
そうした厳しい環境の中で積み上げた11連勝だからこそ、今大会の日本代表の強さには一層の裏付けがあると言えるだろう。
まとめ
男子バレーボール日本代表は、2026年VNL予選ラウンドでカナダに逆転勝ちして開幕10連勝を達成した後、ベルギーをストレートで下して大会史上初の11連勝を記録した。
予選ラウンドの1位通過もすでに確定しており、次戦のアルゼンチン戦、そして決勝ラウンドでの中国戦へと注目は移っていく。
主力と控えの両方が結果を出せる選手層の厚さは、この先の厳しい戦いを勝ち抜くうえでも大きな武器になるはずだ。
控え選手も含めた選手層の厚さが光る今の日本代表から、しばらく目が離せない。